母が箱根駅伝の大ファンで、昔は正月といえば箱根駅伝でした。山登りでのデッドヒート、途中でランナーがふらふらになってしまい、倒れそうになりながらも走り続ける姿、それを必死に励ます沿道の観客、そして涙の繰上げスタート。もう、そこに前走者が見えているのに、スタートしなければならない次の走者。数々のドラマが記憶に残っています。見始めたら長くなるとわかっていても、テレビの前から離れられない、そんな魅力に私も取り付かれていました。そして、18歳の正月。
やっぱり箱根駅伝放映中のテレビの前から離れない私に、母が怒鳴りました。受験生なんだから勉強してこい、2時になったらお昼にするからその時に降りて来い、と。2時なんてゴールする時間やん、と心中ぼやきながら、テレビのない自室にひきこもる私。展開が気になって、勉強も手につかず、悶々と2時までの数時間を、それでも一応勉強しながらすごしました。そうして、2時になって降りてきた私に、母が大興奮、といった面持ちで話しかけてきます。「早稲田の小林くん、すごかったよ、見たでしょ」見てるわけないやん、あんたが勉強しろって追い払ったやん、と心中突っ込みを入れる私にお構いなしに、いかに素晴らしいドラマが繰り広げられたか延々と語る母。
追い払われたおかげかどうか、見事志望大学に合格したのも、今となっては遠い昔。正月は主人の実家で過ごすようになり、すっかり箱根駅伝とも縁遠くなりました。翌日の新聞で結果を見るだけにとどまるここ数年、なんとなくあの頃とは様変わりしたような気もします。ただ、箱根駅伝ファンの母は、今も変わらずテレビの前で声援を送っているようです。